究極の自動掃除機能付きエアコンは出現するか?

エアコンクリーニングをやらせて頂いているとエアコンの構造の変遷を実感できます。エアコンの今後をクリーニングの観点から、独断と偏見で占ってみました。ご笑覧下さい。

エアコンクリーニングから見たエアコンの変遷

エアコンクリーニングの歴史

エアコンクリーニングの歴史を紐解くと1990年前半にサービスが現れた様ですが、定着したのはここ数年のことではないでしょうか。家庭用の噴霧式エアコン洗剤の出現も普及への追い風になったと思われます。それ以前はエアコンをクリーニングするという概念はありませんでした。

エアコンをクリーニングするというアイデア・発想を持った事業者が出現し、サービスを開始したのでしょう。当初はサービスへの認知も無く、立上げ段階での悪戦苦闘が想像されます。パイオニア的な活動には敬意を禁じ得ません。私もこの様な新しいサービスを開発すべく頑張りたいと思っています(余談です)。

旧い機種から最近の機種まで扱っているとエアコンの明確な変遷を実感できます。個人的な見解ですが以下記載させて頂きます。

旧い機種(1990年前半)は構造的に極めてシンプル

構造が非常にシンプルです
1992年 富士通ゼネラル AS22THA
シンプル

分解クリーニングを意識していませんが、作りがシンプルで、結果として非常に分解クリーニングし易くなっています。但し制御基板がむき出しなので、水に対する細心の注意が必要です。熱交換器も前面のみでフラットな形状です。

90年代も半ばになると、制御基板がカバーで覆われる様になります。また、コンパクト化のために熱交換器が上背面に回り込むような現在の形状に変わりました。

少し旧い機種(1990年代後半から2000年代初期)は構造が複雑化

構造がゴチャゴチャ
2002年 東芝 RAS−506JDR
構造が複雑

プラズマ発生による空気浄化機能等の付加機能の追加や電気系統の分散設置(コンパクト化が目的?)で構造が複雑化しています。

取り外す部位が増えると共にコネクター類の取外し等が結構面倒です。機能重視で分解を意識していません。また、当然ながら追加された部位に汚れやホコリが溜まります。構造の複雑化はより汚れ易い状況を作り出したとも言えます。

最近の機種は自動掃除機能付きとそれ以外に二極化

自動掃除機能に代表される高機能機とそれ以外のベーシック機への二極化が進みました。ベーシック機はコストダウンもあり、構造が非常にシンプルで分解し易くなっています。

自動掃除機能はフィルターの汚れやホコリの除去を目的としていますが、現時点では色々問題点を持っていると言わざるを得ません。汚れやホコリの除去能力が不十分なことに加え、自動掃除メカ自体に汚れやホコリが非常に溜まり易くなっています。メーカーさんの改良努力を期待したいところですが、ここ数年構造上の改良はほとんど見られません。

エアコンクリーニングの今後

上記を踏まえ、エアコンクリーニングの今後のトレンドを独断と偏見で類推してみました。

自動掃除機能が進化し、分解クリーニングの必要がなくなる

理想形ではありますが、高いハードルがあると考えます。現状の自動掃除機能はフィルターの軽度の汚れ除去と内部の汚れ防止です。追加的な汚れやホコリの堆積を防ぎつつ、フィルターの掃除能力の向上、内部の汚れ防止から積極的な汚れ除去へのステップアップが必要になります。技術・コスト両面で実現困難か。
今後のありそう度・・・小

自動掃除機能を持ち、且つ分解クリーニングし易い機種が出現する

自動掃除機能付きのエアコンでも分解クリーニングが必要との認識が定着し、分解のし易さを考慮した製品化が進む。偏見かもしれませんが、今の自動総機能付きエアコンは過度に構造が込み入っているように思います。構造上の簡素化の余地は大きいと思われます。
今後のありそう度・・・大

簡単に分解できて、一般家庭でのクリーニングも可能になる

エアコンを構成する部位のブロック化等により技術的には十分可能と思われますが、コストアップに繋がります。手間を惜しまない層には訴求しますが、何事にも手間をかけずというトレンド下で市場に受入れられるかは疑問です。
今後のありそう度・・・小ー中